ローンが残っている状態の車のほとんどは、所有権が信販会社や銀行などの金融機関になっていて、ユーザーさんにはその車を処分することができないようになっています。
とはいえ、いろんな事情によりローンの途中で車を売りたいということもあります。
ローンが残っている車を売ることは基本的にできませんが、正しい手順を踏めば手放すことはできます。
今回は車のローンが残ったままで車を売ってしまうための手順をいくつかのパターンで紹介していきます。
車にローンが残ってる途中で車を売るためやるべきこと
車検証で車の所有者を確認する
※画像 車検証の所有者欄 乗用車 軽自動車
車検証の所有者の欄を見れば、その車の所有者が誰なのかを確認することができます。
おそらくローンを組んだときに信販会社が所有権を抑えた状態で車検証が発行されていて、これを「所有権の留保」とか「所有権留保」などといいます。
もしも車を買った人がローンを返済できなくなってしまった場合、信販会社は車を売却してしまうことで回収できなかったローンの補填をすることになります。
ようするに信販会社や銀行としては「ローンの返済が終わるまであなたの車ではありませんよ」「ローンの返済が滞ったら車を取り上げるからね」というわけです。
銀行のマイカーローンでは所有権留保されないこともある
銀行のマイカーローンのではローンの利用額が少ない場合などは、車検証での所有者をいきなり購入者本人にしてくれていることもあります。
とはいえ、残債が残っている状態の車を勝手に売ることはできず、ローンを利用している金融機関に車を売却したいことを相談しておきましょう。
ローンの残債を確認する
まず、現在のローンの残りの金額を正確に把握しておく必要があります。
ローンがいくら残っているかどうかは、ローンを組んでいる信販会社に確認すると教えてくれますが、数ヶ月に一度くらいの頻度でハガキでローンの支払状況を報告する通知が届いていることもあります。
電話で確認するなら車検証を手元に準備しておく
車検証の所有者の欄を見ればどこの信販会社でローンを組んでいたかを知ることができます。
インターネットなどで検索すればそれぞれの信販会社の電話番号もわかるので、車検証の車のナンバーなどを電話のオペレーターに伝えればスムーズに問い合わせを進めることができます。
車の買取額はどうやって決まる?
たとえば、新車の車体本体が200万円の車を購入して三年後に売ってしまう場合だと、かなり残価率が高いクルマでも60%には届かず、一般的な車種なら残価率は50%を切ることが多いです。
つまり新車で200万の車でも三年後には100万円に届かないことがほとんどなのです。
とくに車のローンの中には購入時の諸費用や税金も含まれていますので、200万円の車体本体価格なら、新車で購入するときは250万円ちかくの支払い総額になっているはずです。
ですが、車の買取査定では
車両本体価格 × 残価率 = 買取相場
という感じでの査定額になることが多いです。
売りたい車の相場を調べる
まずは自分の車がいくらで売却することができるのかを調べ、先に調べておいたローンの残債額と比べてみましょう。
そのためには現在の愛車の買取相場を調べておくことが大事ですが、ネット上で販売している同じ車の売却額をチェックすることでだいたいの買取額を予想することができます。
愛車の買取相場を簡単にチェックする方法
まずはカーセンサーなどの大手の中古車販売サイトにアクセスし、なるべく自分の車に近い中古車を探します。
同一の型式、年式、走行距離も近くてボディーカラーも同じのもの、もちろんグレードも同じが望ましいです。
中古車価格を基準にして判断
車の買取額の相場は中古車で販売されている価格の50%から70%くらいだと思っておいてください。
たとえば、カーセンサーなどで自分の車と同一の車種で走行距離なども近い車が100万円で販売されていたとすれば、あなたの車の買い取り価格の相場は100万円の50%から70%くらいということになります。
例)100万円 × 50% = 50万円
100万円 × 70% = 70万円
つまり市場で出ている中古車の実際の買取価格の相場は、この場合50万円から70万円ということになります。
ただし、もともとの販売価格が非常に高額な中古車ならもう少し買取額も高いですし、定年式の軽自動車などは買取額は低くなります。
例えば、3万円で買い取った軽自動車が中古車サイトで30万円で売っていることなども普通にあります。
愛車の相場を正確に知るなら査定に出す
中古車の販売価格から自分の車の相場を調べる方法は、かなりざっくりとしたやり方なので、実際はキズや凹み、オプション品の多さや内装の汚れなどなど、買取価格に影響する要素はたくさんあります。
もちろん、事故などで修復歴があれば、プロの査定士はしっかりと見破ってしまうので、そこでも大きく買取価格に違いが出てしまいます。
愛車の買取相場とローンの残りを比較
これまでのステップで、自分の車にどれくらいのローンが残っているのかと、車を売った場合いくらくらいで買い取ってもらえるのかを調べたら次は返済するための計画を立てます。
・ローンはいくら残っている?
・今の愛車の買取相場はいくらくらい?
この二点がわかれば次のステップに進みましょう。
ケース①残債よりも車の残価が多い場合
車 > ローン
この場合はかなりラッキーなパターンといえますが、ローン(借金)よりも車の残価(資産)のほうが多い場合で、この場合は車の売却金でローンの残りをすべて支払うことですべて終わらすことができます。
さらに、いくらの現金が手元に残ることもあるので次の車の頭金にすることなどもできますが、どちらかといえば、これは珍しいケースといえます。
ローンを組むときによほど頭金を入れてローンを小さく組んだような場合でない限りは、車は買ったときよりも大きく値減りしていることが多いです。
ごくまれにプレミアが付くような人気車の場合は買取価格が跳ね上がっていることもありますが。
ただ、こんなパターンは珍しくて、ほとんどの場合は車を売ってもローンが残ることが多いのが現実です。
それが次の章で述べる、車の残価よりもローンの残債が多いというケースです。
ケース②車の残価よりも残債が多い場合
車の買取査定額よりも残っているローンの額が大きいときは、不足分を現金で用意してローンの残りを支払ってしまう必要があります。
手持ちの現金で一括返済
預貯金に余裕があれば車のローンの残りを現金で終わらせてしまうのがベストかもしれませんが、貯金の大部分を使ってしまう場合はあまり得策ではありません。
急な出費にそなえて生活防衛資金として現金はもっともたよりになる蓄えなので、すべてを吐き出してしまうような返済プランはかえってリスクが上がってしまいます。
フリーローンを利用する
銀行や金融機関で利用することができるのが「フリーローン」と呼ばれる、文字通り使用用途が自由なローンがあります。
フリーローンの特徴として比較的に金利が安いことと、使用用途が自由なことですが、借入額などによっては用途を申告する必要があります。
この場合、「マイカーローンの借り換え」ということであれば、ローンの審査としても比較的に通りやすいです。
ただし、フリーローンのデメリットは追加で借りることができなくなるので、途中で新たに車を買いたいときには別のローンを利用することになってしまい、二重ローンになってしまいます。
そのため、フリーローンを利用する場合は、返済が完了するまでのプランをしっかりと立てておく必要があります。
オーバーローンを組む
オーバーローンとは、実際に購入する商品の価格を超える金額を借り入れするローンのことを指します。
もともと乗っていた車を売り、さらに次の車の購入資金の両方をまとめて組み込んで一本化したローンなので、先の車のローンも一緒に返すことになります。
二重ローンのように複数のローンを同時に返すよりもはるかにリスクは少なく、融資のハードルも下がっていることから利用者が増えています。
ただし、住宅ローンを組むときに自動車ローンを一緒に混ぜ込むようにするやり方は禁止されています。
おまとめローンを利用する
おまとめローンとは、カードローンやマイカーローンなどをひとつのローンにまとめて、毎月返済していく返済のプランです。
おまとめローンのメリットは複数のローンを抱えているような多重債務者を救うという観点から、総量規制の年収の1/3を超える借り入れをすることができる点です。
ただし、次の車のローンを新たに組む場合は借り換えが難しくなることもあるので、返済プランをしっかりと考え、途中で追加の借り入れをしなくていいようにする必要があります。
ディーラーや信販会社に所有権の解除をしてもらうには
所有権留保とは
車のローンを組んだときに、車の所有者は信販会社やディーラーになっていることが多く、万一返済ができなくなった場合はその車を抵当に当てることになっています。
これを「所有権の留保」といい、その車を売るときには所有権を解除してもらう必要があり、そのためにはローンを全額返済してしまう必要があります。
所有権解除の手順
所有権を解除してもらうためにもローンを全額返済してしまう必要があります。先に述べたように、現金で返済するのかフリーローンやオーバーローン、おまとめローンの利用を検討しましょう。
そのうえでローンを終わらせたあと、
①車検証での所有者にあたる信販会社や銀行に所有権の解除を依頼する
②所有権解除のための書類が届く
③これらの書類を車を売る相手(買取店など)に渡す
④同時に車の売買契約書を交わす
⑤売却相手から車両代金が振り込まれる
上記のような流れで車の売却が完了します。
車の所有者が自分や家族の場合
所有権留保されてなくても報告は必要
銀行などでマイカーローンを組んだ場合、借入額によっては最初から所有権が車の購入者本人になっていることがあります。
とくに住宅ローンを組んでいる銀行でマイカーローンを組んだ場合などはこのパターンが多いです。
とはいえ、マイカーローンの返済がまだ終わっていない状態で車を売却する場合は、ローンを組んでいる銀行に報告をする必要がありますし、場合によってはオーバーローンを比較的に安い金利で組み換えができることもあります。
所有者が自分の場合
この場合はもっとも車の売却がスムーズに進みますが、ローンを組んでいる銀行などにも報告することをおすすめします。
購入時から所有権を留保せずに本人名義にしてくれるような金融機関は金利の安いマイカーローンやフリーローンも扱っていることが多く、これまで返済してきた実績もあるのでローン審査も通りやすいです。
必要な書類を用意する
普通車の場合
・車検証の原本
・3ヶ月以内に発行した印鑑証明を一通用意する。
・委任状に実印を押す
・譲渡証明書に実印を押す
・自動車税の納税証明書があれば処理が早い
軽自動車の場合
・車検証の原本
・住民票の写し
・印鑑
・申請依頼書
車の売却先を決める
ローンを早く終わらせるには車を高く売ることがとても大事で、高く売ることができるほどローンの穴埋めができることになります。
そのためにはなるべく多くの車の買取店専門店などで愛車の査定をしてもらうことがとても大事になってきます。
車を高く買ってくれるお店の探し方
車を高く売るには時期も大事ですが、どの買取店に売るのかでも買取額にかなりの違いが出てしまいます。
買取額に10万円以上の違いが出るということは珍しくありませんので、一社だけに査定を依頼するのではなく、より多くの買取店で査定を依頼することも大事です。
次の車を購入する場合はどうする?
無事に今の車を売ることができても、今度は次の車をどうするかという問題もあります。
もう車はいらないとか、家族から車をただでくれるという場合を除き、通勤などでどうしても車が必要な場合は、次の車を購入する必要があります。
二重ローンはおすすめできない
これまで乗っていた車のローンが残っているうえにさらに次の車の購入もローンで買った場合は、2つのローンを同時に返済することになります。
これは非常に厳しい返済プランで、毎月の生活に必要な家賃や光熱費、食費などを差し引いてもギリギリの生活になってしまう恐れがあります。
できるだけローンは一本にまとめることが望ましく、売った車のローンを終わらせてしまうか、次の車のローンとまとめてしまうほうがいいでしょう。
まとめ
ローンが残った車を売る流れ
・ローンがいくら残っているのかを調べる
・愛車の現在の買取相場を調べる
・買取額よりもローンの残りが多いときは
∟現金で残りを一括返済する
∟次の車のローンとまとめてオーバーローンを組む
∟フリーローンを利用する
∟ローン額が大きいときはおまとめローンを検討する
・返済プランが決まったら愛車を高く買ってくれるお店を探す
・車の所有者が信販会社やディーラーの場合
∟車を買い取ってくれるお店に相談する
∟買取店にローンを完済してもらう
∟ローンの完済証明書を信販会社に出してもらう
∟所有権の解除に必要な書類を出してもらう
∟買取店に所有権解除の書類を渡す
ざっくりとした流れがこのようになりますが、普通車の場合は印鑑証明が必要になりますが、あとは車検証や身分証明書として免許証が必要です。
車を買い取ってくれる買取店も、名義の変更しないことには買取が完了しないので、ローン返済までのお手伝いやアドバイスもしてくれます。
プロとして信頼できて、なおかつ車を少しでも高く買い取ってくれる買取店を探しましょう。
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